そろそろ会社から年末調整の書類が配られる時期です。以前の記事で、今年は「178万円の壁」で12月に戻るお金が増えると書きましたが、それを受け取るには書類をきちんと出すことが大前提です。
今回はその実践編として、今年の書類はどこが変わったのか、そしてよくあるミスをまとめました。
結論:書類は4種類。今年変わったのは主に3つ
- 扶養控除等申告書 ― 様式は同じ。ただし扶養に入れる家族が増えた人は出し直し
- 基礎控除申告書など(4つの申告書が1枚になったもの) ― 計算の表が新しい金額に
- 保険料控除申告書 ― 「23歳未満の扶養親族」の欄が新しく追加
- 住宅ローン控除の申告書 ― 変更なし
書類ごとの「ここが変わった」
1. 扶養控除等(異動)申告書
書く項目は去年と同じです。ただし、家族を扶養に入れられる収入の上限が給与収入123万円以下から136万円以下に上がりました。お子さんのアルバイト代や配偶者のパート代が123万円を少し超えていて、去年は扶養に入れられなかった人も、今年は入れられるかもしれません。その場合は書類を出し直す必要があります。
2. 基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書
名前がとても長いですが、1枚の用紙です。今年は基礎控除が大きく増えたので、「控除額の計算」の表が新しい金額になっています。
- 本人の合計所得が489万円以下(給与収入でおよそ665万円以下)― 104万円
- 489万円超〜655万円以下 ― 67万円
- 655万円超〜2,350万円以下 ― 62万円
3. 保険料控除申告書
生命保険料の欄に、「23歳未満の扶養親族の有無」の判定欄と、特例を使うときの「計算式Ⅱ」の欄が増えました。23歳未満の子どもなどを扶養している人は、一般生命保険料控除の上限が4万円から6万円に上がります(くわしくは生命保険料控除の記事で書きました)。
4. 住宅借入金等特別控除申告書
住宅ローン控除の2年目以降の人が出す書類です。今年の様式の変更はありません。
提出から還付までの流れ
- 10月末〜11月中旬 ― 会社から書類が配られる(紙、または会社のシステム)
- 11月末ごろ ― 提出の締め切り(会社によって違います)
- 12月の最後の給料 ― 1年分の税金を計算し直して、払いすぎた分が戻る
- 2027年1月 ― 源泉徴収票を受け取る
今年は、11月までの毎月の給料からは改正前の金額で税金が引かれています。12月にまとめて精算するので、例年より戻ってくる金額が大きくなりやすい年です。
よくあるミス5つ
1. 去年の用紙や計算をそのまま使う
今年は控除の金額が大きく変わっています。去年の書類を見ながら同じ数字を書き写すと、控除額が古いままになってしまいます。
2. 古い生命保険で、新しい欄に書いてしまう
23歳未満の扶養親族の特例が使えるのは、2012年以降に契約した「新契約」の一般生命保険料だけです。2011年以前の古い契約だけの人は対象外です。控除証明書に「新」「旧」の区別が書いてあるので確認しましょう。
3. 控除証明書の付け忘れ
保険会社から届く控除証明書は、書類と一緒に提出が必要です。ハガキがどこかに紛れていないか、早めに探しておきましょう。
4. 扶養に入れる家族が増えたのに、出し直さない
上限が136万円に上がったことで、新たに扶養に入れられる家族がいる場合があります。今年の年末調整に反映させるためにも、扶養控除等申告書を出し直しましょう。
5. 11月中に退職した人は年末調整の対象外
今回の改正は12月1日からの施行です。11月30日以前に退職して最後の給料を受け取った人は、会社の年末調整ではなく、自分で確定申告をすることで今年の減税を受けられます。
今日からできる3つのこと
1. 保険の控除証明書を1か所に集める
生命保険・医療保険・個人年金・地震保険などのハガキを、封筒にまとめておきましょう。
2. 家族の今年の収入を見積もる
配偶者やお子さんの給与収入が136万円以内に収まりそうか、12月分まで含めてざっくり計算しておくと安心です。
3. 去年の源泉徴収票を手元に用意する
去年の数字と比べると、記入ミスに気づきやすくなります(数字を写すのではなく、比べるために使います)。
まとめ
- 年末調整の書類は4種類、今年変わったのは主に3つ
- 扶養の上限は136万円に。家族が増えたら出し直し
- 基礎控除の表は最大104万円の新しい金額に
- 保険料控除申告書に23歳未満の扶養親族の欄が追加
- 12月の給料で戻る金額は例年より大きくなりやすい
年末調整の書類は、毎年なんとなく書いて出してしまいがちです。でも今年は、ていねいに書いた分だけ12月にしっかり戻ってくる年。ハガキを集めて、少し落ち着いて書く時間をとろうと思います。
次回も、暮らしのお金に関わる話を調べてみます。
出典:国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」「令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等について」、税理士事務所の解説。提出の時期や方法は勤め先によって異なります。
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